今年も残すところ2か月となりました。今年の夏の初めに、80代の親族が少し忘れっぽくなって、長寿検診の延長で脳の検査を受けたところ、萎縮がみられ認知症の診断を受けました。アルツハイマー型で、当事者はもちろんですがその配偶者のショックは大きいものでした。痴呆というかつての不名誉な症状名であった記憶から彼ら世代にとってはまともではなくなったと宣告を受け絶望的になったようで、それは実際彼ら以外の家族すべてにとっても「大変」な対応が始まるんだという気持ちになったのは否めません。

物事というのはどちら側から見るかによって見えてくるものが違ってきます。
認知症を発症してない人からすると発症している人の言動、行動はおかしく感じますが、本人は正常に動いていると思って行動しています。この乖離が、認知症また認知症では無い人との間にすれ違いが起こりストレスが発生します。

今回、ご紹介する 「認知症世界の歩き方 認知症世界の歩き方―認知症のある人の頭の中をのぞいてみたら?筧 裕介/著 認知症未来共創ハブ/ほか監修/ライツ社)は、他の皆さんはどうしているんだろうという思いで探している時に出会いました。 トラブルを抱えたご本人の経験談が アイコンや図解を交えて 「旅のスケッチ」と「旅行記」 という形式で客観的に語られ、 認知症を外から見るのではなく、中から覗く事また認識する事に注視しています。

また未知なことに対峙するということを旅に置き換える、この本を見た時に、この発想はすごいと思い、目から鱗が落ちるようでした。ちょっとネガティブになっていた心に勇気がわくというか…旅先で言葉の通じない国に行っても、感情やおもいやりは通じ合う体験ありますよね。いくつか認知症についての書籍を読んだ中で共通で、かつ印象に残っているのが、その人本来のこころの機微は失われていないという点です。 実際にその状況に陥った時に、また対応する時に転ばぬ先の杖になる一冊ではないでしょうか。

人口の3割が高齢者である社会において、脳という未知な世界は地図がまだ明らかではないため、これからこうした旅に出る可能性はみんなにあります。

今年はオリンピック・パラリンピックもありました。様々な価値観や多様性をありのままに認め合うことが、世の中当たり前になっていくのを実感しますね。