梅雨らしい蒸し暑い天候が続いています。今年の夏は平年並みか暑い傾向のようですね。水分補給をしっかり心がけ、軽く汗ばむような程よい運動をして身体が上手に発汗できる(放熱しやい)状態に整えて暑い夏を元気に乗り越えたいと思っています。
さて今月は、『ぼけ日和』(矢部太郎作 原案 長谷川嘉哉 かんき出版)をご紹介します。
矢部さんの優しいタッチの漫画形式での表現はほのぼのしていて、読みやすく、ホッコリします。しかし内容はかなりハードですが、率直な感想は書籍内にもあるセリフ「あんな大事なこと!なんではじめにだあれも…教えてくれんのですか?」という一言に尽きます。認知症や高齢な家族に関する本は、私にとっても身近な関心ごとなので、これまでも何度か関連書籍をご紹介してきました。この本の登場人物・エピソードは、現場で実際に認知症の高齢者と家族に接している認知症専門医の長谷川先生の臨床を基に制作されています。
泣き顔も困り顔も怒った顔も、ホッコリ最後は笑顔にさせる矢部さんの絵は素晴らしいの一言に尽き、長谷川先生の患者さんに対する姿勢を見事に描かれています。読後、私も認知症未満の高齢である自分の親に対する姿勢を改めて考えていかなくてはと思いました。
介護する家族の視点と思い悩み、専門医療からの視点、また認知症患者自身の状態や思い…難しい事柄を優しくわかりやすく丁寧に表現されています。認知症は脳の部位により症例は様々ですが、対処の仕方や対応など難しい言葉や解釈ではなく、わかりやすく普通の言葉で説明され、きっとどの場合にも参考になるのではないでしょうか。専門医が、一般の方に専門用語を使わない、また、使ったとしてもこういう意味ですよと過不足なく、病との付き合い方について伝える事が、進行する病に対していかに重要なことかを熟知されていて見事です。何事にも終わりがあり、その終わりはこの世に存在するすべての生物が迎える終わりです。だからこそどの立場でも共通する思いとそれに対する思いやりが必要であると教えてくれました。
『ぼけ日和』になった人と家族を安心させる、また、そのように対応出来る人になりたいと思わせる本でした。みなさんもこれからの高齢者社会に向けて、読んでおくと備えになる一冊だと私は強く思いました。
老後を楽しく生きるためにお互いに頑張っていきましょう。